結局、CDは発売され、すでにオークションサイトには多くの商品が転売されている。
今後、写真を封入したCDの発売停止を求めて八代さんの遺族らが裁判を起こしたとしても、「これまでの事例からして、少なくとも3年はかかる」と、金尻さんは見る。
「たとえCDの発売を止められたとしても、八代さんのヌードという究極のプライバシー情報はインターネット上で拡散され続ける。いったん流出した写真をすべて削除するのは非常に難しい」(金尻さん)
現在、金尻さんらは、150人ほどの相談者から依頼された性的な画像や動画をネット上で探し出し、プロバイダーに削除要請をする作業を日々行っている。
「たとえば、男性でも自分のペニスの写った写真がネット上に公開され、学校に知られてしまったとか。とても深刻な事態なのに、写真に写った人の『肖像権』は、とても弱い。本人から削除要請があっても消してもらえないことが多い」(同)
死ねば権利がなくなる現状
若いときにヌード写真を撮影されたり、AVへの出演経験のあったりする人が、それを隠して芸能界デビューしたり、普通の生活をしたりしていて、過去の性的な写真や映像が無断で公開される被害もある。ネット上では本人の特定や個人情報をさらすことが頻繁に行われており、これも大きな被害をもたらしているという。
こうしたなか、八代さんのヌード写真が公にされることに対して、多くの反対の声があがった。「八代亜紀さんの尊厳を保護し、リベンジポルノを阻止する」として署名活動が行われているオンライン署名サイト「Change.org」では23日正午時点で8万人を超える賛同が集まった。
一方、今回の事態を「歓迎」する人たちも一定数いるという。
「リベンジポルノ画像を愛好する人たちのネット掲示板を調べると、『芸能人やアイドルが死んだ後にポルノ画像が出てくれば、法的な問題なく売れるぞ』『よくやった、こんなシステムを作ってくれてありがとう』といった内容のコメントが結構書き込まれています」(金尻さん)