
歌手・八代亜紀さん(享年73)のプライベートなヌード写真が特典としてつけられたCDアルバムが21日発売された。2年前に亡くなった本人に発売を撤回させるすべはない。専門家は「発売会社は八代さんの死を『口封じ』に利用している」と指摘する。
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「八代さんのようなケースは、アダルトビデオ(AV)の業界ではたびたび起こってきた」と、AV出演被害者らを支援する団体「ぱっぷす」の金尻カズナ理事長は言う。
「それが芸能界にも広がった。被害者の死後に歯止めになる法律がないことが知られ、一般の人にも被害が拡大するのではないかと心配しています」(金尻さん)
本人が望まないヌード映像の公開を行った企業は、利益のみを追求し、写された人たちの痛みを気にも留めないと感じることが多いという。
「ショックと苦痛に耐えかねて命を絶った被害者を何人も見てきました」(同)
被害者の死後、AV商品の販売を止めることは困難だ。遺族が販売停止を求めて販売元を訴えるケースもあるが、ほとんどの場合は泣き寝入りだという。
「まず裁判では勝てないですから。写真や映像に映った本人が亡くなってしまえば、撮影や公表に同意しなかったと立証するのは極めて難しい」(同)
裁判だけでは解決しない
CDアルバム「八代亜紀 お宝シリーズ 第一弾 忘れないでね」を発売した「ニューセンチュリーレコード」(鹿児島市)によれば、商品には「(八代さんが)24~25歳の時に同棲していたT社のNディレクターによってポラロイドカメラで撮影されたフルヌード写真2枚が掲載」されている。
この説明の真偽は置くとして、恋人同士がヌードの写真や動画を撮影することがある。その一方が相手の承諾を得ることなしにネット上に投稿したり、プリントして拡散したりすることは、「リベンジポルノ」と呼ばれる行為に当たるという。
CD発売をめぐっては、八代さんの肖像権を包括的に保有するという「八代ミュージック&ギャラリー」(東京都目黒区)が4月14日、「刑事民事を問わず、あらゆる手続きの準備を進めている」と、抗議声明を発表。
これに対して、ニューセンチュリーレコードは公式SNSで、「当社は問題と成っている写真などすべての所有権を有しており売買契約書もございます」と主張していた。