福冨医師の調査によると、成人で小麦アレルギーと診断された人の平均年齢は47歳、男性が64%だった。どの年代でも発症するが、30~50代が多いという。

 大人の症状には、ある特徴がある。パンやパスタなどの小麦製品を食べたあとに行ったランニングなどの運動がきっかけで、全身にじんましんが出るという点だ。

 蚊に刺されたときのような赤いふくらみが腕などにいくつか表れ、それが徐々につながって、全身にわたって地図状になることも。多くはしばらくすると治るが、重度になると血圧が低下し、アナフィラキシーショックに至ることもあるので注意が必要だ。

 アレルギー症状を誘発するきっかけとしては、運動のほかにも解熱鎮痛薬の服用、過度の疲れ、アルコール摂取、女性の場合は月経前などがある。

 「こうしたきっかけがなく、小麦製品を摂取するだけで症状が出ることもあります。最初は小麦製品を食べて運動すると症状が出ていた人が、次第に小麦製品を食べただけで症状が出るようになる、といった例もあります」(福冨医師)

 また、小麦製品の摂取後に運動したとしても、毎回症状が出るわけではなく、出ないこともあるという。

発見のきっかけと検査法

 パンやパスタ、うどんなど主食に小麦製品を食べている人は多く、また運動後にじんましんが出るため、その症状が小麦によるものとは気づきにくい。どのように発見されるケースが多いのだろうか。

 「たまに食後にじんましんが出るな、と思っていたら、徐々に頻度が高くなってアナフィラキシーを起こして倒れて受診するというケースが多いです。何度か症状を繰り返すうちに患者さん自身で小麦アレルギーを疑うこともあります」(福冨医師)

 小麦アレルギーが疑われれば、「IgE抗体検査(特にω-5グリアジン特異的IgE抗体検査)と呼ばれる血液検査を受ける。

 一般的にアレルギーの原因となるアレルゲンが体内に侵入すると、それを排除するために、たんぱく質の一種である免疫グロブリンと呼ばれる抗体が作られる。そのうちアレルギー症状を引き起こす抗体がIgE抗体であり、アレルギーがあるかどうかは、特定のアレルゲンに対するIgE抗体が体内に存在するかどうかで判断する。

 この検査で陽性となれば、“小麦アレルギーの可能性が極めて高い”ということになる。

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