三世代同居が当たり前だった時代には、高齢者介護は家族の役割だと多くの人が考えていたし、実際になんとかなっていたのだ。
厚生労働省「人口動態統計」によれば、1970年に亡くなった人のうち、自宅で亡くなった人は56・6%と過半数を占めていたが、1980年には38・0%と大きく減少し、代わって病院で亡くなった人が52・1%と半数を超えた。わずか10年間で、死に場所が自宅から病院へと変わった。ちょうど三世代同居が半数を切った時と合致している。
死に場所が自宅から病院へと変わった背景には、三世代同居の減少で、「介護や看取りが家族の役割ではなくなった」ことが大きく影響している。

※朝日選書『〈ひとり死〉時代の死生観 「一人称の死」とどう向き合うか』(朝日新聞出版)から一部抜粋
こちらの記事もおすすめ 『〈ひとり死〉時代の死生観』著の死生学者が30年前に感じた違和感 ライフプラン表に「死」がない