
奈良国立博物館が所蔵する国宝を一堂に展示する「超 国宝─祈りのかがやき─」が4月19日に開幕する。音声ナビゲーターの岡田准一さんは、「国宝は特別な存在」という。 AERA2025年4月14日号より。




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数多くの時代劇に主演、殺陣やアクションへの造詣が深いことでも知られる岡田准一さん。「超 国宝─祈りのかがやき─」音声ガイドのナビゲーターの依頼に「とても光栄なこと」と即座に引き受けた。というのも、岡田さんは子どもの頃から大の歴史好きで、当時の夢はアイドルでも俳優でもなく「社会(日本史)の先生」。芸能界に入ってからも時代劇に出演したことをきっかけにその思いは深まり、常々「日本の歴史や文化に貢献できる活動をしたい」という気持ちを抱いていた。
声に込めたリスペクト
音声ガイドを録音する際には「美に対するリスペクト」を声に込めようと意識したという。
「学芸員や専門家ではない役者の自分が担当するからには、聞きやすさよりも僕自身が国宝を見て感じた衝撃や感動が伝わるよう、感情を込めて話すことに心を砕きました。会期中は来場者が大勢いる中で国宝を見ることになると思いますが、周囲にまどわされることなく、しっかりと僕の声を聴きながら、一歩一歩足を進めたくなるよう語りかけたつもりです」

岡田さんが、今回展示される国宝の中でも特に気になっているのが「七支刀(しちしとう)」だ。昨今の刀剣ブームもあって、日本刀は注目を集めて久しいが、七支刀は東アジアの古代史を語る上でも欠かせない国宝中の国宝だ。古墳時代、4世紀頃に百済からもたらされたとされており、ほとんど人の目に触れることなく奈良の石上神宮で大事に守られてきた。「僕は時代劇に携わるようになって、刀を使う上での作法などを知るうちに日本の歴史や文化に、より関心を持つようになったんです。七支刀を目の前にしたときは『よくぞこんなに古いものが残っていてくれた』と、その存在に圧倒されました」と声を弾ませる。