「超 国宝」の音声ガイドナビゲーターを務める俳優の岡田准一さん(撮影:山本倫子)

 そんな岡田さんにとっても「国宝」は特別な存在。「国宝クラスになると、目には見えない気配、特別な雰囲気をまとっていると感じます。存在感、空気感がある。長い年月を超えて大事にされてきた歴史が息づいている。それを現代に生きる僕たちが間近で見ることができるのですからすごいことです」

「なによりのご褒美」

 国宝が放つ力は岡田さんの日常生活にも影響を与えている。「本展に並ぶ素晴らしい国宝の数々を見ていると『明日の仕事、がんばろう』って素直に思える自分がいるんです」

 日本の長い歴史の中で、国宝をつくった人、守った人への尊敬の念が岡田さんの心に湧きあがり、仕事へ向かう気持ちとシンクロする。俳優業で日夜奮闘し、多忙を極める岡田さんにとって、そんな瞬間を持てることが「なによりのご褒美」だとか。

 だからこそ、来場者には一歩踏み込んで「日本人が、先祖がどういう文化を残してきたのか知ってほしい」と願っている。

歴史の教科書でもおなじみの国宝・菩薩半跏像(伝如意輪観音)も展示。飛鳥時代・7世紀。奈良・中宮寺。展示期間は5月20日~6月15日

「自分たちの祖先、ルーツを知ることで未来が見えてくることもある。海外にいくことがあったとき、日本の良いところを海外の人に伝えたいじゃないですか。国宝を通して日本の歴史の意義を考え、知ることができる貴重な機会です。ぜひ間近で日本の宝、国宝が持つ特別な『存在感』を直に感じてください。来て絶対に損はないと思います」

(編集部・工藤早春)

AERA 2025年4月14日号

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