
教員の子どもが受験したら?
ミサキさんがかつて職員室で聞いた会話にも出てきたように、中学受験をする小学6年生の生徒が受験直前期から学校を休むのは珍しくない。インフルエンザなどの感染症予防だけでなく、学校を休んででも追い込みの勉強に費やしたいという理由が多いとされる。
そこで、アンケートで「あなたが勤務する(していた)小学校に、受験前の3学期から長期欠席する6年生はいますか」と聞くと、46.3%が「はい」と答えた。

とはいえ、長期欠席すること自体に賛成しているわけではないようで、「受験勉強が大変でも、義務教育の6年生は学校に通うべきだ」と考えている人が71.6%に上った。
「小学校という集団生活の環境で社会性を育むことは成長につながるから」(福岡県、50代、女性)
「学校に来て、小学校でしかできない友だちとの関わりを大切にしてほしい」(愛知県、40代、男性)
一方、感染症にかかったり、在校中のけが、児童間のトラブルなどで受験に支障をきたすことを心配する意見もあった。
「そのようなことが起こった場合、児童のメンタルへの影響は計り知れず、家庭がかけてきたコストが無になるショックも極めて大きい」(東京都、50代、男性)
教員の子どもが中学受験するケースもあるが、その場合はどうなのか。ハヤトさん(仮名、40代)が勤務する大阪市中心部の小学校では6年生の約2割が中学受験をする。それに向けて、冬休み明けから長期で学校を休む児童も多い。
「ただ、息子が中学を受験した際は、ぼくも妻も、『学校には最後まで行け』と言った。息子も『行く』と言っていた。ですが、結局、試験前の1週間は休ませました」(ハヤトさん)
休む前にインフルエンザに感染していたとしても、1週間あれば回復して受験できると見込んだからだ。
「ぼくが若手教員だった20年前は、『児童は学校に来なければならない』という意識が強かった。でも、今は不登校児童の増加もあって、子どもたちを無理に学校に来させるような意識は薄れた。中学受験のために学校を休んでも全然問題ないと思います」(同)