
荒れる「エリート校」
力量のある教員であれば、それを表出させないように抑えられるが、そうでない場合は、落ち着かない状態が教室全体に伝播してしまう。問題行動がエスカレートして警察や児童相談所が介入するケースもあるという。
「ただ最近は、めちゃくちゃ無反応な子が多い。学校ではただじーっと座って、時間がたつのを待っている」(同)
都内のある有名小学校の校長はこう語った。
「世間ではウチは『エリート校』と思われているかもしれませんが、ある意味、『荒れた学校』です。子どもたちは『勉強さえできれば、何をやってもいいだろう』という雰囲気を体全体から出してくる。保護者もそれを容認する空気があります」
前出のトモコさんは、「最後に全員で何かやろう」という雰囲気のあった6年生の3学期を懐かしむ。
「今は親も子も、そんな思いは薄れた。都市部の保護者にとって学校は塾と同じように『利用するところ』なのでしょう。そういう時代になったんだと思います」
多くの先生たちは、時代の流れとして中学受験そのものに反対ではない。家庭の意向を尊重したいとも思っている。それでも、小学校の最後くらいはみんなで一つの思い出をつくりたい、という気持ちは強いようだ。
(AERA編集部・米倉昭仁)