画像はイメージ(撮影/写真映像部・東川哲也)
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 メディアで中学受験が報じられる際、多くは「親子」や「塾」の視点で、小学校の現場にいる「先生」からの声はあまり聞こえてこない。そこで、AERAでは小学校の先生に緊急アンケートを実施。義務教育の現場で指導にあたる小学校の先生たちが中学受験についてどう感じているかを調査した。そこからは、先生たちの意外な“ホンネ”がみえてきた。

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 アンケートは2025年3月1~28日に「AERA」と「AERA dot.」のSNSやメルマガを通して、小学校の教員(元教員も含む)と答えた人に実施した。期限内に寄せられた回答は67件。公立小が91%、私立小が9%だった。

 まず、「あなたは小学生が中学受験することをどう感じていますか」という問いには、「賛成」が32.8%、「どちらかといえば賛成」が25.4%と約6割が肯定的だった。代表的な意見としては、

「自分に合った学校に出合うチャンスなので、本人と家族が同意して、本人の負担がないようなら中学受験にチャレンジすることはプラスの経験になる」(神奈川県、40代、女性)
「できる子はどんどんレベルの高い問題に取り組めるし、そういう集団に入ったほうがいい」(千葉県、40代、男性)

 などが挙がった。

 一方、「どちらかといえば反対」は14.9%、「反対」も1%いて、

「低学年のうちから勉強ばかりになっていまい、遊び時間が減る」(愛知県、50代、女性)など、否定的な意見も一定数あった。

 かつて神奈川県のある公立小学校に勤務していたミサキさん(仮名、60代)はこう話す。

「昔は中学受験をする家庭に対して否定的な教員は珍しくありませんでした。『通知表には悪いこともちゃんと書く。中学を受験しようが関係ない』『(受験の)1週間前から学校を休むなんて、おかしい』などと話す教員を職員室でよく目にしました」

 だが、年を追うごとに中学受験をする家庭が多くなり、最近ではクラスの半数以上の児童が受験するようになった。

「よく聞くのは、慶應義塾普通部、開成中、桜蔭中といった名門校です。そこまで高望みしない子たちには、偏差値40~50くらいの学校が人気です。かつてのように中学受験に否定的なことを言う先生は一人いません」(ミサキさん)

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