死球の直後、あわや乱闘の緊迫場面から一転グータッチで大団円というほのぼのシーンが見られたのが、2021年9月11日の巨人中日だ。

 1点を追う巨人は9回裏、先頭の坂本勇人が中日の守護神・マルティネスから二塁打を放ち、一打同点のチャンス。だが、亀井善行は遊ゴロ、岡本和真も空振り三振に倒れ、2死二塁となった。

 ここで5番・中島宏之が打席に入ったが、マルティネスの2球目、内角高め153キロ直球が左肩付近を直撃。中島は一塁に向かって歩きながら、怒りの表情でマルティネスをにらみつける。一方、マルティネスも帽子を取りながらマウンドを降りると、中島に近づいていく。中島は西武オリックス時代にも死球をきっかけとする乱闘騒ぎを起こしており、「またか」とひと波乱を予感したファンも多かったはずだ。

 ところが、接近した両者は何度か言葉を交わしたあと、なんと、グータッチで和解。思わぬ結末にネット上でも「何今の?」とあっけに取られる書き込みが見られた。

 直後、中島には代走・ウィーラーが送られ、2死一、二塁からマルティネスは次打者・松原聖弥を三振に打ち取り、17セーブ目を挙げた。

 その後、中島は23年オフに中日移籍が決まり、くしくもマルティネスとチームメイトになったが、その際に2年前のグータッチの真相を明かしている。

「帽子を取ったライデル(マルティネス)がグータッチをしてきて。その前に『カワイイ!』って思ったんです。何でかというと『ゴメン』って日本語で言うてきたから」。

“乱闘王”の怒りも一瞬にして氷解させる「ゴメン」は魔法の合言葉と言えそうだ。

 危険球を投げられてのけぞった打者がマウンドへ向かう。ここまでならよくあるシーンなのだが、直後に「なーんだ」と思わず笑ってしまうような珍幕切れが見られたのが、昨年4月16日のロッテ対西武だ。

 ロッテの先発・唐川侑己は、2回に3者連続三振を記録するなど、3回まで西武打線をパーフェクトに抑える。角中勝也の中前タイムリーで1点を先制した直後の4回も金子侑司を中飛、元山飛優を一ゴロに打ち取り、2死まで漕ぎつけた。

 だが、次打者・外崎修汰が1ボールからバントの構えを見せると、2球目のチェンジアップがすっぽ抜け、顔面付近を襲う危険球になった。

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