外崎は咄嗟にかがみ込むような姿勢になって、かろうじてかわしたが、直後、体勢を崩しながらも、そのままマウンドに向かっていく。
乱闘勃発か? スタンドからもどよめきが起きる。
ところが、外崎は怒るどころか、「あんなところに投げて、ビックリするじゃないか」と言いたげに笑顔を見せるではないか。
これに対し、唐川も「手元が狂ってゴメン」とばかりに苦笑い。両者揃って笑顔で別れ、何事もなく試合再開となった。
外崎は唐川の3球目、外角寄りのカットボールを空振りしたあと、4球目のカットボールを打って右飛に倒れ、パーフェクト阻止ならず。一方、唐川は6回の先頭打者・長谷川信哉に初安打を許し、6回を1安打7奪三振無失点に抑えたが、降板後に逆転されたため、記録も勝利投手も幻と消えてしまった。
(文・久保田龍雄)