デッドボールの直後、ヤクルト石川に猛然と突進したバティスタだったが…
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 死球の直後、打者がマウンドへ突進。「すわ乱闘か!」。両軍ナインはもとより、スタンドやテレビ桟敷のファンも色めき立った直後、一転、まさかの結末が待っていた…。試合中に起きた“ああ勘違い”シーンを集めてみた。

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 まずは2005年5月9日の交流戦、ヤクルトソフトバンク戦で起きた珍事を紹介しよう。

 0対0の4回1死、ヤクルトの先発・石川雅規のカットボールがソフトバンクの3番打者・バティスタの右腕を直撃したのが、事件のきっかけだった。

 次の瞬間、バティスタは「やりやがったな!」とばかりにマウンドの石川を目がけて猛然と突進する。

 ヤクルトは4日前の中日戦でも、藤井秀悟が内角攻めに激高したウッズに右フックを食らい、一夜明け後にむち打ち症状が出るなど、散々な目に遭ったばかり。

 帽子を取って謝ろうとした石川だったが、自身よりひと回り以上も体格差のある183センチ、82キロの“大男”が疾風のように眼前に迫ってくるのを見ると、「逃げなきゃと思った。藤井さんのこともあったし」と恐怖の表情を浮かべて全速力で逃げ出した。

 ところが、ここでバティスタはクルッと方向転換すると、何事もなかったように一塁に向かうではないか。思わぬ結末に両軍ナインは大爆笑。石川も苦笑いしながらマウンドに戻ったが、一時は心臓バクバク状態だったことから、投球リズムに微妙な狂いが生じ、次打者・松中信彦に先制2ランを被弾してしまう。

 ちなみにバティスタは、メジャー時代も何度も死球を受けていたが、敬虔なクリスチャンで、怒って投手に歩み寄ったことは1度もなかったという。

 前出のウッズが10試合出場停止になったことを「メジャーなら3試合くらいだよ」と同情的だったバティスタは、事件後、ヤクルトが“ウッズショック”で負けつづけていたことから、石川攻略の糸口をつくるために、あえて怒りのパフォーマンスを演じたようだ。

 だが、せっかくの“頭脳プレー”も奏功せず、試合は延長11回、2対3でサヨナラ負けとなった。

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