ただ、過去の2年と今季を含めた3シーズンのJリーグの公式の1試合平均スタッツを見ると、神戸が2年連続でトップだった「空中戦勝利数」は、2023年:21.7(1位)→2024年:24.0(1位)→2025年:27.2(1位)と依然としてリーグトップを維持しており、数値的には右肩上がり。さらに「こぼれ球奪取数」も、2023年:35.5(3位)→2024年:34.3(5位)→2025年:41.2(1位)と推移して今季が最も優れている。数字上、ロングボールを放り込み、こぼれ球を拾って高い位置から攻撃する戦法に、むしろ“頼りすぎている”と言える。

 その一方で、今季は1試合平均の「走行距離」が113(20位)、「スプリント回数」が109(19位)、そして「1vs1勝利数」が13.2(20位)と振るわない。ハッキリと“走れていない”状況にあり、こぼれ球は拾っても局面の1対1のデュエルで勝てていない。過密日程の影響、選手が揃っていない影響が響いている。さらにアクチュアル・プレーイングタイム(インプレーの時間)の増加のために少々の接触ならばプレーを続行する今季のレフェリングにアジャストできていないという場面も多かった印象だ。数字的には6試合で5得点6失点で、攻撃面の方の問題の方がやや大きいが、ゴールの数、チャンスの数を増やすためにも、まずは「走る」「球際で負けない」という“戦うための基本”を取り戻す必要があるだろう。

 収穫はある。前述したエリキのスピードと決定力は新たな武器となり、17歳の生え抜きMF濱崎健斗も楽しみな存在。そして宮代大聖、酒井高徳、汰木康也らが続々と戦列に復帰してきた。特にストロングポイントだった“武藤&酒井”の右サイドが復活すれば、ゲーム展開の優劣も変わってくるはずだ。不服ではあるが、ACLE敗退によって日程的な余裕もできる。今後のスケジュールを見ると、4月6日のアルビレックス新潟戦(H)、同12日の東京ヴェルディ戦(A)の後、同16日から5月6日まで本拠地4連戦(川崎フロンターレ、FC町田ゼルビア、ファジアーノ岡山、セレッソ大阪)を控えている。ここがチームを立て直す大きなチャンスであり、リーグ3連覇へ向けて早くも訪れた正念場になりそうだ。

(文・三和直樹)

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