王者・神戸に何が起きている?(写真提供・日刊スポーツ)
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 Jリーグ開幕から1カ月半が経過した中、2023年&2024年のリーグ王者・ヴィッセル神戸の苦戦が続いている。1試合消化が少ないとは言え、エイプリルフールの4月1日時点で1勝3分け2敗の勝点6でJ2自動降格圏の18位に沈んでいるのは“ウソ”ではない。

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 過密日程が要因になったことは間違いない。2月8日のスーパーカップに始まり、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)のグループリーグ残り2試合とラウンド16の2試合を中2日、中3日の超過密日程の中で戦ったのだ。そこに主力の故障離脱が重なった。J1開幕時から井手口陽介、宮代大聖、井出遥也、広瀬陸斗、カエターノ、齊藤未月らが不在で、さらに酒井高徳、汰木康也の2人が試合中の怪我で相次いで離脱した。その間、結果が伴えば良かったが、ACLEではラウンド16でまさかの敗退。J1リーグ戦では、浦和レッズ(0-0)、名古屋グランパス(2-2)、京都サンガ(1-1)、アビスパ福岡(0-1)と開幕4戦未勝利スタートとなり、ようやく5試合目の湘南ベルマーレ戦で勝利(2-1)するも、前節は鹿島アントラーズの勝負強さの前に0-1で屈した。

 この状況を見る限り、やはりオフの戦力補強の不足が影響していると言わざるを得ない。リーグ初優勝を飾った後の昨オフは、現有戦力を保ったまま、宮代大聖、井手口陽介、広瀬陸斗の主力級の日本人選手たちを加えたが、今オフは小池裕太、松田陸、本山遥、橋本陸斗にカエターノと控えめ。一方、主将だった山口蛍、左サイドバックの位置からロングボールを正確な供給していた初瀬亮、CBの控えだった菊池流帆らが退団。チーム全体の戦力値はマイナスになった感がある。開幕後にMFグスタボ・クリスマン、FWエリキの外国人を緊急補強し、特にJリーグで実績のあるエリキは早速、デビュー戦となった湘南戦で2ゴールを奪ってチームに今季リーグ戦初勝利をもたらしたが、ならば開幕前から補強しておくべきだった。

 チームの戦い方は、過去2年から大きく変わってはいない。大迫勇也の高さと強さ、武藤嘉紀の機動力を生かし、ロングボールを有効活用した縦に速い攻撃、そしてチーム全体が高い強度で圧力をかけ続ける。だが、同じやり方は対戦相手から研究され、対策を練られることは世の常。連覇したチームならば尚更だ。

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