鴻上尚史さん(撮影/写真映像部・小山幸佑)
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 人の好き嫌いを否定する人が苦手だと話す50歳女性。ただ好きなものを話したいだけなのに、人の好き嫌いやセンスに正解や優劣をつけたがる人達とのコミュニケーションで、ストレスを感じているという。そんな女性に鴻上尚史が伝える「そう言われた時の爽やかな切り返し」とは。

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【相談251】

人の好きなものを否定する人とうまく付き合うことができません(50歳 女性 コッペパン)

 人の好きな人やものについて話すと絶賛大否定する人がいます。その対象は、例えをあげるとキムタク好き、タイタニック好き、カップラーメン好き、などのようなことです。自分自身は自分の好きなものを無闇に否定されるのは嫌だし、相手も良い気分にならないだろうし、それに自分の知らない面白さがあるのかと思い、ヘェ そうなんだーと思いながら、相手の語りを聞くのも嫌いではありません。

 人の嫌いなものを聞くよりもなんか楽しくなったりします。ですが、まるでその趣味に人権は無いみたいな、例えば、ある女優さんが好きだと言えば「え、あの舌ったらずのしゃべり方大嫌い。なんであんなに色々出てるのか理解できない」とか、「カップラーメンなんて身体に悪いものまだ食べてるの」のように否定されるともやもやしてしまいます。強盗は良いことだ、と言っているわけではありません。好きなものについて話したいだけなのに、なぜ上から目線で否定するのでしょうか。きっと自分のセンスの方が良いと言いたいのでしょうが、人の好き嫌いやセンスに正解や優劣は無い、と私は思います。

 とはいえ、人の好き嫌いを知るのもその人となりを知ることが出来るできので、一概にダメとも思いません。それでも、「良さが全くわからない」ではなく「苦手だな」みたいな言葉遣いはできるのではないでしょうか。人は何故、他人の好き嫌いに対してえらそうに物申すのか。その心理背景と、そう言われてももやもやしないようになるにはどう考えれば良いのか、ヒントをもらえると助かります。

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