大阪府の吉村知事
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 大阪・関西万博は4月13日の開幕まで、あと1カ月となった。地元の大阪でも盛り上がりはイマイチで、日本国際博覧会協会が公表するチケットの売れ行きは3月5日時点で約800万枚。協会は2820万人の来場者を見込み、開幕までの前売り券の販売目標を1400万枚としてきたが、とても届きそうもない数字だ。1160億円を見込む運営費の大半は入場料収入で賄うことになっているが、このままでは赤字となり、膨らんだ建設費同様、税金を注ぎ込むことにもなりかねない。

【写真】実際にフリマサイトで転売されている万博チケット

 大阪府の幹部は、万博の報道を見るたび吉村洋文知事が渋い表情を見せると明かす。

「吉村知事は報道を非常に気にしています。毎日、新聞やテレビ、ネット、SNSまで、知事室で遅くまでチェックしている。万博の入場券の売れ行きが芳しくないという話を見るたび、表情が厳しくなる」

 前売り券の販売目標が厳しいうえ、売れた800万枚の多くは、企業・団体向けに販売されたもので、実際の来場者に直結するかどうかは怪しい。大阪のある会社は万博チケットをグループ企業含めて数百枚購入したというが、社長はこんな状況を明かす。

「うちのようなある程度、規模が大きな会社には、何枚買うようにと割り当てがきます。そこで、購入した万博チケットを社内で販売しようとしたが、希望者はごくわずか。今は取引先にお伺いを立て、ただで配っているが、『万博に行きたい人がいない』と大量のチケットがだぶついている。ネットサイトで売ることになるかもしれない」

 実際、メルカリなどのフリマサイトや金券ショップでは、万博のチケットが販売されている。万博チケットを個人で購入する際には、「万博ID」を取得して個人情報を入力しなければならず、原則として購入者以外は使えない。だが、企業や団体が購入して、個人の万博IDと後からひもづけるタイプのチケットは、ひもづける前なら転売で入手しても使用できる。協会は不特定の人への転売を禁じているが、不要なチケットを購入した企業・団体からの転売は防げそうもない。

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