
近づくにつれて「行きたい人」が減少
そもそもチケットが売れないのは、万博に行きたいと思う人が少ないからだ。
朝日新聞別刷り「be」のモニター読者アンケート(2024年6月)では、「万博に行かない」と答えた人が81%を占めた。その理由のトップは「入場券が高い」。実際、一日券の価格は大人(18歳以上)7500円とけっこうな値段だ。前売りや平日だけ利用できる「平日券」などの割引チケットはあるものの、2021年開幕のドバイ万博(UAE)の約3000円、05年の愛知万博の4600円など、過去の万博の入場料と比べるとかなり割高だ。
ほかに行かない理由として、「人混みが苦手」「目玉や中身がわからない」「開催に反対」「よいイメージがない」などが挙げられた。確かに関西万博については、パビリオンの建設が遅れていてパビリオン情報が乏しいし、工事中にメタンガスが発生して事故が起きるなど不安材料が多い。
しかも、万博の開幕が近づくにつれて行きたい人が減少している。三菱総合研究所は万博についての意識調査を半年ごとに実施しているが、直近の24年10月の調査では、「万博に行きたい」と答えた人の割合は24%で、ピークだった22年10月の31%から7ポイントも低下した。24年4月調査の27%と比べても3ポイント落ちている。地域別にみると最も下落が大きかったのが地元の京阪神圏で、22年10月は48%だったのが直近は36.3%で、12ポイント近くも低下した。
入場者増につなげようと、大阪府は、府内の小中高校と支援学校に無料招待を呼びかけている。しかし、府教育委員会によれば、今年1月時点で対象となる1841校、約88万人のうち、来場希望は約58万人だった。昨年7月の調査では約68万人としていたので、10万人が減ったことになる。
大阪以外の近畿圏の小中高校でも無料招待を実施する予定だが、府教委によると、
「学校単位でみても、参加希望はどの府県も半分にも満たない。調査するごとに減っていく。暑さ対策への不安や事前の下見ができないことも響いている」