デヴィ夫人(中央)が代表を務める「12平和党」の設立会見で。藤川氏(左端)は選対委員長だった

「人生の終わりにイヌやネコを選挙で応援」

 今年2月、デヴィ夫人を代表とした新政治団体「12(ワンニャン)平和党」の設立発表では、選対委員長として、記者会見を仕切った。会見前、藤川さんは私にこう話していた。

「12平和党は、うまくいけば参院選で2議席か3議席とれるから、記者会見にぜひ来てくれ。最近は女性候補や石丸君などを応援してきた。人生の終わりに近づいてきて、イヌやネコを選挙で応援する。オレの人生、ホンマにおもろいやろう」

 そして、「比例名簿の人数によっては、自分自身も立候補する可能性がある」と意欲を見せていた。

 2月下旬、藤川さんと会食する約束をしていたが、直前になって、
「足に菌が入って緊急入院することになった。若いいいのを代わりに参加させるので、よろしく頼む」
 と連絡があり、藤川さんは都内の病院に入院することになった。

 入院中も何度か電話で政局などについて情報交換をしたが、
「解散総選挙が近いかもしれない。病院でうかうかしておれんわ」
 と意気軒昂だった。

「日本の政治に欠けているのは大谷翔平の存在。政治の世界の大谷を育てたい」
 とも常々語っていた。そして、

「透析のカテーテルを入れる手術をした。今回の入院はなかなか辛い。般若心経を唱えて、神様と仏様と語り合いながら戦略を練っている」

 と話したのが最後となった。

 藤川さんと長い付き合いがある政治評論家の田村重信氏は、こう話した。

「僕が自民党にいた時からの仲だから30年以上で、同い年なんだよ。不透明な政局のなかで藤川さんの人脈、あゆみがすごく必要な時代だったのに残念だ。政治の羅針盤を失った思いです」

 私も、回復を信じていただけに、残念でならない。

 ご冥福をお祈りします。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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