「いつでも人を呼べる家」と書いた紙を壁に貼り、片づけのゴールを意識しました/アフター

「私はちゃんとした片づけ方を知りませんでした。子どもたちのモノが床に散らばっていることが気になっていましたが、まずは私が片づけられるようにならないと、と思ったんです」

 こうしてプロジェクトに参加することを決め、ちひろさんの片づけが始まりました。

 家の中の大量のモノは、“使う・使わない”のみを判断基準にして選別。全体量をグッと減らしました。

プロジェクトでは、家族の動きに合わせてモノの定位置を決めることを学びます。これがちひろさんにとっては大変な作業でした。

「床置きされていたモノの大部分は、置き場所が決まっていませんでした。それを家族みんなで話し合いながら、『どこが使いやすいかな』『ここがいいんじゃない?』と仮置きをしながら決めたんです。みんなが納得できる場所を探すこと、そして置きたい場所にその分のスペースを確保することがけっこう難しかったです」

 片づけは、家族とのコミュニケーションも生みました。話し合いをくり返すうちに、ちひろさんも家族もお互いの意見を尊重することができるようになってきたのです。

「うちは夫が料理をしてくれることがあるので、キッチンに関しては意見をたくさん言ってくれましたね。私の考えを伝えたときも『それはイヤだな』『使いにくそう』と、きちんと話してくれました」

夫自身もキッチンの使いやすさを考え、DIYをして「こんな感じはどう?」と提案してくれることも。

「いつも無口なんですけど、気づいたら無口じゃなくなっていましたね(笑)。私が何も言えない雰囲気を作っていたのかも」

 家の中の片づけが終わると、モノの場所を家族で共有できたことで娘の忘れ物がなくなり、ちひろさんが口うるさく言わなくても自分のタイミングで学校の準備ができるようになりました。息子は自分の収納スペースを把握できるようになり、モノの量がそれ以上にならないように気をつけています。

 家族みんなの変化を感じる中、ちひろさんが一番驚いているのは自分の変化です。

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10年越しに家族でできたこととは