「慣れ」はグラウンド内外に影響を及ぼした。中嶋聡前監督はそれを昨年5位に低迷した大きな原因として挙げ、シーズン中には全力疾走しない選手を嘆いた時もあった。岸田監督も就任会見から同様の言葉を口にした。

「慣れというか、驕り、慢心の感じもあった。自分たちの実力を過大評価、負けが込んでも『本気を出せばいつでも逆転できる』という空気感。中嶋前監督は退任時に敢えて苦言を呈してくれたが、同じような姿勢が今後も続くようだとまずい」(オリックス関係者)

 昨季の夏場以降は「慣れ」が感じられた選手(特に野手)は容赦なく二軍行きを命じられた。一軍レギュラークラスが多数いることで二軍施設の大阪・舞洲には多くのファンが連日集まる状況。その中で選手たちはのんびりマイペースに調整を行っているようにも見えた。

「森友哉、頓宮裕真、宗佑磨、福田周平が二軍に揃った時もあった。足を運んだファンからすると嬉しいだろうが、彼らは一軍の中心でやってもらわないと困る。同様のことが2度と起こらないようにしないといけない」(オリックス関係者)

 昨年は上記の選手と同じく二軍降格を経験した主軸の杉本裕太郎はオフ期間中に大減量を行うなど、各選手ともに今年へかける気持ちは強いはず。しかし春季キャンプを見る限り、練習時間など昨年までと大きな変化は感じられない。「岸田監督が気分良くプレーさせられれば実力を発揮してくれるはず」(オリックスOB)と希望的な声も聞こえるのだが……。

 また、3連覇の原動力となったピッチャー陣にも懸念材料があるという。

「野手以上に投手陣にも心配が残る。3連覇時のエース・山本由伸がドジャースで活躍したことを受け、同様にメジャー挑戦を考える投手もいるはず。将来を見据えて必要以上に無理をしないことも考えられる」(在京球団編成担当)

 左のエース・宮城大弥、大型右腕・山下舜平大などは渡米願望を持つとされる。MLB各球団スカウトからの高評価も得ているとされ、気持ちはすでに米国を向いている可能性もある。

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