割安な中古学生服を取り扱う店も全国的に増えている=東京都内、米倉昭仁撮影

【大田区】

 大田区は23年6月分から区立小中学校の給食費を無償化してきた。

「給食は成長期にある子どもたちの体をつくり、健康の保持・増進に直接結びつきます。保護者の負担軽減策として、かなり優先順位が高いと考えました」(大田区の担当者)

 だが、制服については、制服は基本的に個人に属するものであり、「公費か私費か、と問われれば、『私費で負担する部分』と、今は考えます」(同)

【杉並区、墨田区、文京区】

 杉並区、墨田区、文京区も「原則、私費負担」という立場で、制服無償化は検討していないという。

【目黒区】

 目黒区の担当者は、「品川区の制服無償化については今後の動向を注視したい」と語り、こう続けた。

「制服の無償化も含めて、義務教育における保護者負担軽減は基本的に、『国が対応すべき課題』という認識です。無償化を実施して、継続するには多額の予算が必要です。財政状況も踏まえた、総合的な判断が求められると思います」

【荒川区】

 荒川区は保護者負担軽減の対象として、検討はしたというが、「結論からいうと、制服無償化はやりません」(荒川区の担当者)。

 25年度から区立小中学校の修学旅行、遠足、ドリルなどの一部補助教材、卒業アルバムを無償化する。

「毎月、保護者のみなさまから集めている『学校徴収金』を軽減する、というのが本区の考え方です」(同)

 学校徴収金とは、教材費や宿泊行事の積立金など、学校での教育活動に必要な経費だ。

 低所得世帯に対して、制服を購入する費用は、「『入学準備金』というかたちで給付している」(同)ことも、制服を無償化の対象から外した理由だという。

【葛飾区】

 葛飾区の担当者は、制服購入への公費投入は、「検討以前に、整理すべき点が多い」と言う。

「たとえば、児童・生徒が使う補助教材は区内で統一されていますが、制服はそうではない。保護者によって負担額が異なるので、同様に扱うことはできません」(葛飾区の担当者)

 制服は同じ区内の中学校でも各学校によって異なり、個人によりサイズも違う。

「家庭によってはきょうだいがいて、『お下がり』を使う場合もあるので、一律に負担するのは現実的ではないと考えた」(同)

先駆者として議論の呼び水に

 では、なぜ品川区は制服の公費負担に踏み切ったのか。

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