産後も活躍を続け、キャリアを充実させていく女性と、家事・育児に追われるばかりで仕事に十分な時間を割けない女性。勤務先で調査した結果、その差を生み出しているのはそれぞれの夫の働き方だったという。つまり、女性たちのキャリアの差は、夫の差であり、活躍を阻む要因は家庭にあったのだ。

 大阪府の自治体で非常勤職員として働く女性(32)は、「全てに協力的な旦那さんのいる友人が羨ましい」と話す。自身は関西の難関私大を卒業し、就職したものの、夫(32)の転勤が決まったときに子どもが欲しかったこともあり、別居よりは同居がベターと判断。入社5年目に退社した。

 その後、娘(3)を出産したが夫は保育園に預けるのは「かわいそうだ」という理由で大反対。結局、昨春、幼稚園に入園させたのを機に、ようやく仕事を再開することができた。夫は毎朝、娘を幼稚園に送ってから出勤するため、周囲からは“子煩悩なパパ”と見られているが、料理、洗濯、掃除は「得意じゃない」と言って一切しないという。

「本当はフルタイムでバリバリ働きたいんです。でも、うちの夫が相手では難しいかな。悔しいですけどね」

 顕在化する“夫格差”。なぜ、時代を経ても女性のキャリアや活躍を阻む男性が存在するのかと考えた時に、興味深いデータにたどり着いた。

 NHK放送文化研究所の「日本人の意識調査」(18年)によると、結婚しても子どもが生まれても、妻ができるだけ職業を持ち続けたほうがよいという「両立」志向は、男性は73年は16%だったが18年は56%に、女性は同24%から同63%にそれぞれ約45年前と比べて男女とも大幅に増加したが、いつの時代も男性は女性より10ポイントほど低い。つまり、男性の方がそもそもの両立志向が低いのだ。

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「可能な範囲」の両立