阪神・西純矢
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 キャンプ中だった阪神の西純矢が右肘の精密検査のため2月17日に帰阪した。第1クールからブルペン入りし、シート打撃登板に登板するなど順調に状態を上げていたが、7日に右肘の違和感を訴えてチーム本体から離れた。別メニューで調整していたが、患部の状態が思わしくないため無念の離脱となった。

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「昨オフに徹底したトレーニングと食生活を変えたことでガッチリした体になり、ブルペンで力強い球を投げ込んでいました。本人の中でも手ごたえが強かったと思うので、ショックが大きいでしょう。長期離脱にならなければいいのですが……」(阪神を取材するスポーツ紙記者)

 未来の阪神を背負うエースとして2019年のドラフト1位で入団して、5年の月日がたった。プロ3年目の22年に自己最多の6勝をマークしたが、23年は5勝と先発ローテーションに定着できず、昨年は4試合登板で未勝利だった。

 投手として伸び悩んでいた西だが、もう一つの大きな魅力がある。野手顔負けの打撃だ。創志学園高(岡山)の時から評価は高く、高校通算25本塁打をマーク。3年のとき出場したU-18代表のW杯では同学年の佐々木朗希(ドジャース)や奥川恭伸(ヤクルト)らを押しのけて、投打の二刀流で主役に躍り出た。チーム最多の4試合に登板して防御率1.35をマークするとともに、打者でも同大会の本塁打王に輝いた。在京球団のスカウトは、西の野球センスを高く評価する。

「今でも、『ネクスト大谷翔平』に最も近い存在だと思います。個人的には打者としての評価が高かったですね。インコースのさばき方がうまく、コンタクト能力に優れている。長打を打てるツボを持っているし、打者としてのタイプは巨人坂本勇人に近いですね」

 阪神入団後も、打撃センスはさびついていない。「8番・投手」で出場した22年5月18日のヤクルト戦(神宮)で、2回に左腕・高橋奎二の150キロ直球を振り抜いて左翼席へプロ初アーチ。投げても1失点のプロ初完投勝利を飾った。DeNAと対戦した同年10月10日のCSファーストステージ3戦目では、6回途中から救援登板すると7回に打席に入り、左腕・エスコバーの内角に食い込む155キロ直球を左越え二塁打。球場がどよめきに包まれた。

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