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立ったまま仮眠がとれるという縦型の「仮眠ボックス」を、旭川市の企業が開発、販売を始めて一年がたった。「本当に立って寝れるのか」。誰もがそんな疑問を抱いた異色の製品は、海外からの問い合わせも受けている。この春の大阪万博にも展示予定だ。開発者側は手ごたえを得る一方で、“想定外”の反響や利用法の提案に驚かされることもあったという。
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立ち寝できるボックスって?
立ち寝できるボックスとは一体どんなものなのか。東京・世田谷区にある家電のショールーム「蔦屋家電+」にそいつはいた。
円柱形で、高さ約255センチで直径は120センチ。電話ボックスを少し丸く大きくしたイメージか。
仮眠ボックスは、▽足裏▽膝▽お尻▽頭部の4点を支える仕組みだ。お尻のパッドと頭部を寝かせるアームレストの高さは調整でき、自分が一番楽な姿勢のバランスに変えることができる。
スタッフに頼めば体験できるということで、筆者も試してみた。
最初は膝に重さがかかってしまったが、尻パッドを調整するとすぐにバランスが良くなった。続いて、顔を横にして腕の上に寝てみた。少し低く首が突っ張る感じがしたので5センチほど上げると、一気に楽になった。特に狭さや窮屈さも感じず、加重が上手に分散されている。
ドアを閉め、灯りを消して実際に寝てみる。
眠りはうっすら浅め
真っ暗過ぎず、外の客の声などがかすかに聞こえてくるが、逆に緊張感がなくていい。数分くらいでうっすらと眠りに落ちたと思う。良く寝た!という実感はないが、浅めの眠りで程よく疲れが取れた気がした。
「giraffenap(ジラフナップ)」という名のこの立ち寝ボックスを開発したのは、旭川市の合板製造会社「広葉樹合板」。近未来をイメージしたスタイリッシュな「スペーシア」と、木材で温かみのある雰囲気の「フォレスト」の2種類を製品化し、2024年1月から販売を開始した。一台、税込みで330万円だ。
きっかけは、地元の銀行が主催した「知財ビジネスマッチング」で、イトーキが持っていた、立って寝る開放特許の存在を知ったことだ。
「立って寝る? 横になるのが普通だろう?」