スプリングトレーニング施設で、他の投手や捕手とともにウォーミングアップをするロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平=2025年2月11日、米・アリゾナ州(写真:AP/アフロ)
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 メジャーリーグ史上初めて「50-50」を達成し、歴史に名を刻んだ大谷翔平選手。今季、二刀流の復活はあるのか? 在米ジャーナリストが解説する。AERA 2025年2月24日号より。

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 冬の終わりを告げるように、アリゾナ州グレンデールでロサンゼルス・ドジャースがスプリングトレーニングを開始した。

 大谷翔平にとっては、キャメルバック・ランチで迎える2度目の春となる。昨季は打者として50本塁打、50盗塁という史上初の偉業を成し遂げ、満場一致のMVP選出という栄誉に輝いた。チームをワールドシリーズ優勝に導いた立役者としても歴史に名を刻んだ。そして今季は、二刀流の復活に向け、再びマウンドに上がる。

 チームも1998年から2000年のニューヨーク・ヤンキース以来となる連覇を狙い、佐々木朗希など大型補強を敢行。盤石の布陣でシーズンに臨む。今季も見どころ満載である。

 唯一無二の二刀流や史上初となる3度の満票でのMVP受賞という異次元の活躍によって、大谷が「世界最高の野球選手」であることに異論を唱える者は、ほぼいなくなった。メジャーリーグは、今や大谷を中心に回っているといっても過言ではない。

投手復帰は5月か?

 その大谷が、投手としてかつてのレベルで活躍できるのかは、今季最大の注目点の一つだ。3月の日本での開幕シリーズには間に合わないが、リハビリは順調で5月には投手として復帰できる見込みだという。

 大谷はメジャー1年目の2018年に右肘靱帯の再建手術(トミー・ジョン手術)を受け、23年にも再び右肘の手術を受けた。2度の肘手術を経てエース級の投球を取り戻すのは容易ではない。昨季までドジャースに在籍したウォーカー・ビューラーも、2度目の手術後に調子を取り戻すのには時間を要した。しかも、大谷はワールドシリーズで痛めた左肩の手術までしている。不安の声が上がるのも無理はない。

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二刀流にとって勝負の時期となるかもしれない