
20日放送の「徹子の部屋」(テレビ朝日系・月~金午後1時)のゲストはミッツ・マングローブ。音楽ユニット「星屑スキャット」の一員としても活動中で、メンバーのギャランティーク和恵さんとメイリー・ムーさんも登場する。昨年、結成20年コンサートには親も見に来たそうで、現在に至るまでの親子関係を明かすほか、竹内まりやさん作詞・作曲の名曲「駅」を披露する。そんなミッツ・マングローブの過去の人気記事を振り返る(「AERA dot.」2019年10月9日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)。
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ミッツ・マングローブさんによる『熱視線』は、「週刊朝日」に連載中の人気エッセーの書籍化。大坂なおみ、小泉進次郎、工藤静香ら、誰もが知る“アイドル”を「斜め上から目線」でつづりまくる1冊だ。著者のミッツさんに、同著に込めた思いを聞いた。
3年前、「週刊朝日」で連載コラム「アイドルを性せ!」を始めた時、ミッツ・マングローブさん(44)は2脚の椅子を買った。一つはパソコン作業用の高機能チェア、もう一つは食卓に合うおしゃれチェア。以来、前者を執筆に、後者をイラスト描きに使ってきた。
まあ、なんて優雅なエッセイストライフ、と思うのだが、現実は「言葉が紡げないという地獄」の連続。
「毎週、金曜昼間に締め切りがあって、火曜の夜ぐらいからソワソワしてくる。言語脳をクリアにしなきゃ文章は書けないから、酒量と付き合いが劇的に減りました」
それでも現在まで連載を続けているのは、一本一本の積み重ねが、時代の備忘録になる、という思いから。
「1980年代の泉麻人さんのエッセーのように、サブカルチャーの記録にしたいのと、あと、『この人、なんでこうなの?』という、アイドルに対する好奇心、探究心ですね」
とはいえ、人の好き嫌いの上に立脚するアイドルを、批評家のように分析するのは野暮だという。そこから奔放な解釈が、ミッツさんならではの論理とともに展開する。
たとえば星野源ブレークの理由を、「歌がいい」「演技がいい」「お喋りがいい」と並べた後で、「顔の存在感が絶妙」「ギラギラして見えない究極のエロ顔」「男にとって、こんなにも好都合な顔はない」と、私見に落とし込む。理屈の先にテンプレートの言葉はなく、え、こう来ましたか、というめくるめく結語が文中にちりばめられる。
「私、音楽のコード進行も一つはずした音の方をキレイに思うんです。『ドミソ』だったら、『ソ』を違う音にすると、新しい世界が広がっていくでしょう」
75年生まれのミッツさんにとって、アイドル原体験は松田聖子、中森明菜。
「昔、アイドルってテレビを通して、その瞬間でしか見られなかった。だからその時の衣装、歌、振りを頭に焼き付けた。アイドルたちは、人気の絶頂にいても、ある日、すっと消えていく。その儚さにも興味がかきたてられます」