翌86年の鹿児島キャンプでは、ロッテ最終年の落合が、上体が突っ込む癖を指摘し、「球を迎えに行くな」と打撃指導。「このままシーズンに入っても、20ホーマー打てる」と期待をかけた。中日移籍後の“師匠”落合の打席で「マグマ大使」の主題歌がテーマ曲に使われると、岡部もマグマ大使の息子・ガムのテーマの替え歌で、「ミラクルパワーで放り込め」と歌われた。

 そして、有藤監督2年目の88年、岡部は主に5番を打ち、自己最多の11本塁打を記録。10月19日の近鉄戦第2試合では、吹石徳一、真喜志康永のソロ2発で1対3と勝ち越され、「これで勝負あった」と思われた直後の7回、高柳出己から追撃の右越えソロを放ったシーンも印象深い。

 活躍期間こそ短かったが、“伝説の10・19”で、7回に同点タイムリーを放った西村徳文、8回に阿波野秀幸から同点弾を放った高沢秀昭とともに、川崎球場時代のロッテを知るファンにとって、忘れられない強打者の一人だ。(文・久保田龍雄)

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