「やすらぎの里」では滞在中はヨガ、散歩、マッサージなどの施術、講座など多彩なプログラムに参加し、それ以外の時間ではハイキング、温泉三昧、美術館巡りと各人が自由に過ごす(写真:やすらぎの里提供)
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 健康を意識するなら、「1日3食規則正しい食事」をイメージしがちだが、食べすぎの現代人にとっては健康のために空腹の時間を作ることも必要だという。「16時間断食」を実践する医師に、話を聞いた。AERA 2025年2月17日号より。

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 あおき内科・さいたま糖尿病クリニックの青木厚院長(55)は2010年、40歳のとき舌がんが見つかった。それを機に国内外の論文を読み漁り、「空腹こそ最強のクスリ」という結論に至った。中でも着目したのが、オートファジーだ。

16時間断食の注意点

 オートファジーは空腹状態で働くシステムで、諸説あるが、最後にものを食べてから16時間ほど経過しなければ活性化しないとも言われている。そのため、青木院長は「16時間断食」を日々の生活に取り入れている。

「16時間は長く感じるかもしれませんが、睡眠時間と合わせて16時間にすれば無理なく実現できます」(青木院長)

 たとえば24時就寝、7時起床、勤務先で昼食時間が12~13時と決まっている人なら、朝食は抜き、12時に1食目を取り、20時に食事を終わらせればいい。

「重要なのは継続すること。週1回でも月1回でもできる範囲で構いません。最初は12時間の空腹を目標とし、徐々に16時間へと延長していく形でもいいですよ」(青木院長)

 食事ができる8時間は何をどれだけ食べてもいい。16時間断食を始めたばかりの頃は、いわゆる“どか食い”になってしまうかもしれない。しかし自然と一般的な食事量に落ち着く。

「『8時間の間は3食にすべきか、2食か』とよく聞かれます。16時間断食の臨床研究では、比較群との条件を同じにするため3食としていますが、食べられる回数でいい。8時間で3食はなかなか厳しいので、みなさん、だいたい2食です」

 空腹期間中におなかが空いて我慢できなくなった場合は、素焼き味付けなしのナッツ類を。ナッツ類は抗酸化作用、心臓保護作用などさまざまな健康効果が実証されている。生野菜やチーズ、ヨーグルト、お茶や炭酸水などゼロカロリーの飲み物でもいい。

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