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 2番に強打者を置くのは、早い段階での得点や投手の立ち上がりの攻略、チームのバッティングの状況を踏まえた戦術ではないだろうか。初回に1番打者が出塁し、2番の強打者がホームランを打てばいきなり2点入る。そうなれば、相手チームに強いプレッシャーを与えることができる。

 また、2番打者最強説の理由には、9回ある攻撃の中で1、2番は、たとえば9番よりもほぼ確実に打席が1回多く回ってくるから、その打順が強打者であれば、より多くチャンスを作ることができるという単純計算もある。プロ野球のデータで言えば、年間の打席数は1番打者から打順が1つ下がるごとに15打席前後、少なくなっていく。

 それなら「2番打者最強説よりも1番打者最強説のほうがいいんじゃないか」とも思えるが、やはり初回に1番が出塁して、ランナーがいる状況で2番の強打者を迎えるほうが投手にプレッシャーがかかる。それによって3、4番の強打者にもつながりやすくなり、より得点に結びつけやすくなるというのが2番打者最強説の理屈だ。
 

打順は「監督の願望」に過ぎない?

 このように改めて考察してみると、2番打者最強説にしても4番打者最強説にしても、じつは「1回以降は関係ない」ということがよくわかる。

 私がポイントとしている7番打者においても、2番打者最強説で1番打者の出塁が大事なのと同様、6番打者の出塁が大事になってくる。

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