フジ"やり直し会見"の翌日(1月28日)に「文春オンライン」に掲載された「週刊文春」による訂正コメント

 今回の「週刊文春」の訂正を受けて、世間の風当たりは強まり、社会学者の古市憲寿氏は出演したテレビ番組や自身のSNSで「『週刊文春』、廃刊にした方がいい」と批判、幻冬舎の編集者で実業家の箕輪厚介氏は自身のYouTubeチャンネルで「『週刊文春』が、一人の人間(注:フジテレビ幹部)を社会的に抹殺した」「法的機関じゃないのに人を裁く力を持ってしまっている」と訴えた。落語家の立川志らく氏は中居氏の引退やフジテレビの社長の辞任について「憶測による悲劇」とし、「現代の日本はゴシップ誌を信用しすぎている」「これまでゴシップ誌の正義によりどれだけの人間が不幸になったのか」などとSNSに投稿した。

一辺倒でなく喧嘩を

 ともすればペンによる“私刑”とも捉えられかねない。「週刊文春」に対し、これまでの芸能人スキャンダル報道に対する世間の批判、今回の訂正をめぐる批判に対してのコメントを求めたところ、書面でこう回答した。

「これまでと変わることなく、公正な取材に基づく調査報道を続けて参ります」(「週刊文春」編集部)

 ジャーナリストの田原総一朗さんは「週刊文春」についてこう話す。

「僕は、デマを理由に言論、表現の自由を規制してはいけないと思っている。でも、やはりメディアとしては間違っちゃいけない。読み手が記事を見極める力を持つことも必要。週刊誌は見出しを強烈にしないと売れないから、論調含め刺激的なものになるのは当たり前だけど、今回の文春報道は見出しと中身に乖離があった。そこは一致させなければ一介のゴシップ雑誌になってしまう。スキャンダルこそ一番のエンターテインメントだから、報じること自体はアリだと思っているけどね」

 そして、田原さんは「週刊文春」を囲むマスメディアのふがいなさにも苦言を呈した。

「文春が何か大きく記事を出すと他も一緒になってそれ一辺倒になってしまうのは面白くない。媒体同士での逆張りも喧嘩もない。文春に間違いがあれば取材して糾弾して書けばいい。ジャーナリズムというのは喧嘩するから面白いんだよ」

 冷静な取材と検証。ジャーナリズムとは何か。今一度立ち返って考えてみたい。(編集部・秦正理)

AERA 2025年2月17日号

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