2人とも、これから厳しい環境での戦いになるのは間違いないが、NPBを経由せずに米国に渡ったことでの“メリット”も多いという声も少なくない。さらに2つのサンプルができたことは“続く”選手の指標にもなりそうだ。
「MLBではマイナーからの叩き上げ、大卒でのプロ入りの両方で超一流選手が生まれている。それぞれに長所と短所が存在するので、選手側が自身の個性と照らし合わせて判断する必要がある。佐々木と森井の例を参考にできることは、渡米を考えている選手にとって大きい」(MLBアジア地区担当スカウト)
「マイナーからの叩き上げはプロとして生き残る術が身につく。よく言われる移動などのタフさはもちろん、グラウンド内外の所作なども備えられる。大学では学業も伴わないとプレーできなくなる可能性があるため、学力や常識も身につくので引退後にも効力を発揮する」(在米スポーツライター)
野球での活躍を目指すのは大前提だが、引退後も視野に入れて早めの渡米でMLBを目指すのも合理的とも言える。
「米国で活躍すればNPBの何倍ものお金を手にできる。活躍できる保証もなく遠回りになるかもしれないが、それはNPB経由でも似たようなもの。今の選手は現実的なので、その辺はしっかり考えての結論だろう」(NPB関係者)
近年は日米の年俸格差も広がり、早期にメジャー挑戦を求める現役選手も多く「日本球界の空洞化」が叫ばれる。「NPBはMLBのマイナー組織ではない」という指摘も間違いではないが、プロとして高みを目指すことを否定はできない。それは高校を卒業したばかりの選手にも当てはまるだろう。
「入り口を考えていかないといけない。メジャーに行くのはしょうがないけど、最初は日本のプロ野球に入ってもらうというのは結構重要かなと思いますね」とプロ野球OBの宮本慎也氏は自身のYouTubeチャンネル『解体慎書』で懸念を口にした。これも日本の球界のために重要な指摘だけに、これから新たなルールなどができるかも気になるところだ。