プロ野球界で昔から言われることが多いのが“2年目のジンクス”である。ルーキーや若手選手がブレイクした翌年に成績を大きく落とすというものであり、過去には2年目のジンクスに苦しんでそこから浮上できなかった例も少なくない。果たして近年ブレイクしたルーキーや若手で苦しんだ選手はいるのだろうか。
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近年の新人王で最も苦しんだ例と言えるのが田中和基(楽天)ではないだろうか。プロ入り2年目の2018年に112安打、18本塁打の活躍を見せてブレイクし、久しぶりに登場した強打のスイッチヒッターとしても大きな話題となった。しかし翌年は怪我もあって59試合の出場にとどまり、打率を1割台に低迷した。
2020年には61安打、8本塁打と少し持ち直したものの、その後の4年間は守備固めや代走での出場が大半となり、一軍で一桁安打のシーズンが続いている。外野のレギュラーは辰己涼介以外にも小郷裕哉が昨年大きく成績を伸ばし、中島大輔も1年目から一軍の戦力となっており、年々厳しい立場となっている。今年は正念場のシーズンとなりそうだ。
田中と同じパ・リーグの新人王では2022年に受賞した水上由伸(西武)と2023年に受賞した山下舜平大(オリックス)も苦しんだ例と言えそうだ。水上は育成ドラフトでのプロ入りながら、1年目の5月には早くも支配下に昇格してブルペン陣の一角に定着。2年目には60試合に登板して4勝1セーブ31ホールド、防御率1.77と大車輪の活躍を見せた。
しかし翌年は開幕から調子が上がらず、故障もあって登板数が激減。昨年も29試合に登板したものの防御率は5点台と不本意なシーズンに終わった。貴重な中継ぎ右腕だけに復活が待たれる。
一方の山下もプロ入り2年間は二軍暮らしが続いたが、3年目に先発ローテーションに定着すると9勝3敗、防御率1.61と大ブレイク。先発ながらイニング数を上回る奪三振も記録している。しかし一軍定着2年目となった昨年は開幕から制球に苦しんで不安定な投球が続き、4月に登録抹消。二軍での調整を経て5月に復帰するも上半身のコンディション不良を訴えて登板を回避するなど、体調面の不安も目立った。