クライシスコミュニケーションの観点からは、記者側の倫理も問われていると、石川さんは言う。
「ときに感情をぶつける質問はアリだと思います。けれども、最初からそうした姿勢では、相手が委縮し、答えが得にくくなることもある。冷静に丁寧に真実に迫る必要があると思います」
そして最後に、この事態を招いた幹部の責任の取り方とタイミングだ。
記者会見が始まる直前に、フジテレビは港浩一社長と嘉納修治会長が一連の問題への対応の責任をとって27日付けで辞任すると発表した。
「このタイミングでの辞任は、『トカゲのしっぽ切り』の感が否めません。本来であれば、経営に強い影響力を持つとされる日枝久取締役相談役を含めて、役員の総退陣を表明すべきだったのではないか」
たとえば、第三者委員会の報告書の提出を期に新しい体制に移行するという方針を打ち出していれば、世間の風向きは大きく変わったのではと石川さんは見る。CM撤退企業も堂々と戻ってこられたのではないか。
次にフジテレビが会見を開くのは、第三者委員会の報告書が出るタイミングだと石川さんは見る。
「第三者委員会が日枝相談役について、どのような勧告をするかもポイントになるでしょう」
「日枝体制」のゆくえを注視するメディアも多い。組織として具体的にどのように対応するかが注目されている。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)