記者の質問に答えるフジテレビと親会社フジメディア・ホールディングス経営陣=25年1月27日、小山歩撮影
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 フジテレビと親会社フジメディア・ホールディングス(HD)の「やりなおし」記者会見は、27日午後4時から始まり日付をまたいだ午前2時半ごろに終了した。フジ側は質問を希望する全員から質問を受けた。企業の危機管理の専門家は会見を「50点」と評価する。

【写真】謝罪し、10時間超をひたすら「耐えた」経営陣だが

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「私が知るかぎり最長」だと、企業の危機管理の専門家・石川慶子さんは振り返った。

 1月27日行われたフジの記者会見は、約9時間に及んだ川崎協同病院「安楽死」事件の記者会見を超え、約10時間半となった。

 前回1月17日の記者会見は参加者が限定され、映像の撮影を認めなかったことなどが強い批判を浴びた。それに対応し、オープンな記者会見をすぐに開いたことは「評価できる」という。

「通常、大手メディアから指名することが多いのですが、今回は最初からフリーランスの記者からの質問が目立ちました。懇意の記者を指名して会見をコントロールする意図はなく、『最後まで、どんな質問にも答える』という姿勢で会見に臨んだことも評価できます」

 質問者側が声を荒らげたり、説教を始めたり、大紛糾した10時間超の会見について、SNSでは記者側を批判する声は多かった。フジに同情的な見方も散見された。

 にもかかわらず、フジの評価が「50点」と低いのはなぜなのか。

「ひたすら記者からの質問に耐える姿勢を見てもらうために記者会見を開いたわけではないでしょう。彼らは会見で何を伝えたかったのか、最後までメッセージが伝わってきませんでした」

原因が語られていない

 今回の記者会見には視聴者やスポンサー企業、社員からの信頼を取り戻す、という目的があったはずだ。だが、それは「果たせなかった」と石川さんは見る。

 その原因として、石川さんは3つのポイントを指摘する。

 1つ目は、何が事態をここまで悪化させてしまったのか、「失敗の原因」を率直に説明していないことだという。

「会見を聞いていると、『一生懸命にやってきた』という主張ばかりで、原因についての分析はほとんど語られていません」

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