ライブドア騒動時の堀江貴文社長(当時)と、フジテレビ日枝久社外取締役相談役=2005年

 フジサンケイグループ(78社、4法人、3美術館、従業員約1万3千人/同社ホームページから)の代表にして、40年以上フジの経営陣に君臨する“天皇”と呼ばれる存在だ。

 前出の中堅社員がこう話す。

「一日一回は労組の中でも話し合いが行われています。説明責任をするべき人がしているのかどうか、と。(日枝取締役相談役の出席を)すでに要求しましたが、社員説明会にも姿を見せず、今回の会見にも出席せずでした。あんまりじゃないですかね」

 27日の会見でも、日枝氏が会見に出席しない理由や、今回の対応などへの関与、今後の進退についての質問が飛んだ。

 しかし、経営陣からは「会見自体がフジテレビの問題なので、会長、社長以下で対応している」「今回の一件は日枝氏の直接の関係はない」「日常の業務は会長と社長で決めている。今回は日常の業務についてのこと」「今回の件は日枝に相談もしていないし、関与もしていない」といった言葉が出るだけで、会見への出席を促す考えなどはないようだ。

「日枝さんがやっていたから」が理由に

 会見の様子を見ながらこうした発言を聞いた別の20代の社員は、

「実は、社内説明会の時にもだれかが発言して拍手が上がっていましたが、ある事業について、利益が上がっていないからやめよう、って提案しても『日枝さんがやっていたから』とか『そこは触ってはいけない領域なんだよ』とか上から言われて、結局はそのままにしてきたという事例が過去からあるんです。今回のような“隠蔽体質”の背景には、日枝さんの影響があるとみんなわかっている。日枝さんが実質的なトップにいて変わらない以上、企業の体質は変わらず、未来は見えないです」

 と嘆く。日枝氏の責任問題には全く触れない上層部に辟易(へきえき)しているフジ社員。今回、話を聞けた社員が口をそろえて、こう話した。

「そのしわ寄せがくるのは現場の社員たちです」

 彼らが懸念するのは、人員や予算の削減といった措置が取られることだ。

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