今年で30歳とまだ若く、何よりもアベレージで150キロ台中盤をマークするスピードは大きな魅力である。メキシカンリーグのチームとの契約や外国人枠の兼ね合いもあるが、投手陣が慢性的に苦しいヤクルトや、他球団でプレーした経験のある外国人選手が活躍しているロッテなどは、シーズン途中の状況次第で獲得を検討しても面白いのではないだろうか。

 日本人の投手では東條大樹(前・ロッテ)も去就が未定となっている。JR東日本時代からそのタフさは評判で、プロでも2019年には58試合、2022年には59試合に登板するなど中継ぎとして活躍。これまで通算206試合に登板して58ホールドという実績を誇る。昨年はプロ入り後初めて一軍登板なしでシーズンを終えたが、二軍では登板を重ねており、11月に行われた12球団合同トライアウトでは最速147キロをマークするなど力のあるところを見せた。オフにはプエルトリコのウインターリーグでも登板している。コルニエルのところでも挙げたヤクルトや、変則なタイプの中継ぎ投手がいない中日などは狙い目の選手と言えそうだ。

 他では通算1928安打を誇る中島宏之(前・中日)もいまだに去就が決まらない状況となっている。また独立リーグやファーム球団のオイシックス、くふうハヤテで現役続行する選手もいるが、彼らも活躍次第ではシーズン途中にNPBに復帰することは可能となっている。一度クビになった選手が活躍を見せることで勇気づけられるファンも多いだけに、ここから鮮やかな復活を遂げる選手が出てくることを期待したい。(文・西尾典文)

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。
 

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼