ウィメンズの強化
「『ウィメンズフォーカス』をテーマに掲げて取り組んできたこの2年間、とりわけデジタル分野のマーケティングのてこ入れを図ったのが奏功したと受け止めています」
こう話すのは、2022年にバブアー製品の日本市場の独占輸入販売権を取得した伊藤忠商事から「バブアー パートナーズジャパン(Barbour partners Japan)」に出向している嶋越正彦常務執行役員(49)だ。
日本市場での販売権取得の際、伊藤忠商事はバブアー社との間で2つの課題を共有していたという。1つが「ウィメンズの強化」。ワックスジャケットの男臭いイメージから、女性も日常的に着られるブランドへ。もう1つは「ライフスタイルブランドへの移行」。アウターブランドとしての知名度が高いゆえ、5~7月の売上げの落ち込みをどう回避するか。今は女性の支持とともに、キャップやポロシャツなど夏のアイテムの売り上げも上がってきており、「目論見どおりの推移」(嶋越さん)という。
嶋越さんによると、バブアー本社のあるイギリスでは約20年前からウィメンズ部門に注力し、売り上げ比率もメンズとレディースがほぼ半々。ところが日本では長年、メンズに特化した販売戦略が続いていた。そこで伊藤忠商事がバブアーの国内販売権取得にあたり白羽の矢を立てたのが、“もこもこルームウェア”で大ヒットを飛ばした「gelato pique(ジェラートピケ)」などのブランドを率いるマッシュホールディングス(HD)。ウィメンズに強くアパレル経験豊富な同社幹部を社長に迎え、マッシュグループの一企業という位置づけで設立したのが、バブアーの日本販売を担う「バブアー パートナーズジャパン」だ。伊藤忠商事で約四半世紀にわたってブランドマーケティングを担当してきた嶋越さんはこう打ち明ける。
「正直、私も22年にバブアー パートナーズジャパンに出向するまでは『バブアーはメンズ向けのワックスブランド』というイメージでした。しかし、社長は『バブアーはウィメンズでも勝負できるブランドなのに、これまで深掘りしてこなかったのはもったいない』という認識でした」