舞台上で両手を合わせ「祈りのポーズ」
芸能リポーターの城下尊之氏は井上の露出減についてこう話す。
「オファー自体が少なくなっていることもあるでしょう。井上ほどブレークした実績がある女優なら、ドラマのギャラは高騰しているのではないでしょうか。たとえば、一般的にドラマのギャラは主演なら1話200万円くらいと言われており、連続ドラマだと10話くらいあるので、ギャラは約2000万円になります。しかし、映画だとここまでのギャラはかかりません。映画は監督や脚本家との個人的な関係を優先して、ギャラが低くても出ることが多いからです。井上にとっては、自分のキャリアに残るような映画を選別して出演を決めているのでしょう」
井上は2005年、連続ドラマ初主演の「花より男子」(TBS系)で松本潤、小栗旬らと共演し、一気にブレークした。11年にはNHK連続テレビ小説「おひさま」でヒロインを演じ、同年の映画「八日目の蝉」で第35回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した。同年のおおみそかにはNHK紅白歌合戦で司会を務め、人気の絶頂を迎えた。
15年にはNHK大河ドラマ「花燃ゆ」で主演を張ったが、同作の視聴率はふるわず。その後、事務所独立問題で揺れ、16年に岸部一徳らが所属する事務所へ移籍した。
「移籍前の事務所には松嶋菜々子がおり、井上と2枚看板でした。ドラマでも松嶋と共演するなど事務所を支えていましたが、突如、事務所から独立することが報じられ世間を騒がせました。本当の移籍理由はいまだ謎に包まれていますが、自分のペースで仕事をしたいという意向もあったのかもしれません」(テレビ関係者)
1月17日~19日の最新の映画動員ランキング(興行通信社調べ)では、「サンライズ・サンセット」は11位でのスタートとなった。井上の演技の評価は高いだけに、ここからの追い上げに期待がかかる。
「演技力には定評があり、どんな役でもこなせる実力派ですからね。ただ、年齢的にはそろそろ、若いヒロインは限界に近い。ベテランの会社員役とか、人妻、母親役などにうまく移行していく時期でしょう。あとは、それが本人の気持ちにマッチするかどうか。近年はスキャンダルもなく、プライベートが謎めいているのも、女優としてはプラスです。40歳を超えたらより幅広い役でキャリアを積んで、50歳くらいには大女優になっていてほしいですね」(城下氏)
冒頭の舞台あいさつの終了直前、井上は両手を合わせ、祈りのポーズを取った。東日本大震災の被災地を舞台にした映画への思いもあっただろうが、その表情からは、この作品にかける並々ならぬ決意を感じさせた。
(AERA dot.編集部・上田耕司)