こゆきさん(撮影/写真映像部・和仁貢介)

 また、一部の先生から目をつけられることもあった。その理由は、こゆきさんが『コツコツ勉強するタイプではないから』というものだ。

「他の人のやり方を否定するつもりはないのですが、私にとって『真面目に授業を聞いて、テスト前は1日何時間も勉強して』といった計画的なやり方が本当に合わなかったんです。自分には自分に合った勉強量があるのに、と思っていました。そんな私に悪い意味で感化されて、勉強しなくなる子も周囲に出てきてしまい、一部の先生から目をつけられていましたね」

 ただ、すべてが悪いことばかりではなかった。先生の中にも理解者はいたし、友人もできた。とくに入部したクイズ研究会では、一緒に大会を運営する他校とのつながりが自然と強くなり、学校外で多くの友人に恵まれた。それがこゆきさんの心境にも大きな変化を生むことになった。

「クイズ研究会での交流のなかで、『人間っていいな』と思えるようになりました。それまでの私は物語がすごく好きで、周囲の人たちにはあまり興味が持てない子どもでした。でも、高校に入っていろんな人と仲良くなって、『自分もこんなに友達ができるじゃん!』と驚きました。それまで、自分はコミュニケーション能力のないダメな人間だと思っていたので、その変化がすごくうれしかったんです」

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自分は他者を傷つけたいわけではない