現在、こゆきさんはギフテッド支援プロジェクトで活動している。「支援にあたって有益では」と考えて久しぶりに受けた知能検査「WAIS-Ⅳ」の結果は、総合的なIQが139だった。活動で接するギフテッド児やその親たちへの視線はとても優しく、それでいて説得力に満ちている。
「学校が嫌な子どもは、かつての私と同じように『学校が嫌なのは、自分の適応能力が低いからだ』と思うかもしれません。でも、実際は苦手を細分化するところに至ってないだけかもしれません。例えば私の場合、ノートを取るのをやめてみたことで、『自分が嫌だったのはノートを取ることだったんだ!』と気づきました。高校に入って先生が怒鳴ることが少なくなったことで、『自分じゃない、他の生徒であっても、誰かが大きな声で怒られるのは好きじゃないんだな』と気づいたことも。渦中にいると、何が苦手かに気づく余裕も持てないんですよね」
他方で、あるがままでいることと同じぐらい、『自分を変える勇気を持つこと』の大切さも伝えている。
「ギフテッドに限らないことですが、『人のいい面を見る力』は大事だと思います。人はちょっとしたことで傷ついたり、絶望しやすい性質を持っていますが、それでも人のいい面を見る力を育てておくと、相手との関係性も良い方向に変わってくる。私は小中学生のとき、人より本のほうが好きでした。豊かな時期でしたし、楽しかったので後悔はしてませんが、それでももうちょっと周囲の人たちへ関心を寄せていれば、仲良くなれる未来もあったのかなと思うんです」
最後に、ギフテッドの子どもたちにメッセージをもらった。
「かつての私がそうであったように、『自分はダメなんだ』と責めたり、逆に『この世界は間違っている』と絶望している人もいるかもしれません。でも、今の自分が知っているよりも社会は広いはず。どこかには自分の居場所があるし、つくれるものです。私自身が、そういう場所を世の中につくっていきたいですね」
(岡本拓)