女性は漏れやすく、男性は出にくい イラスト/石山綾子
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 尿トラブルは老化現象のひとつ。しかし他の老化とは異なり、尿の問題に関してだけは努力で若返りが期待できるという。時計の針を巻き戻せるというわけだ。泌尿器の問題を専門とする日本大学医学部教授・高橋悟氏の著書「頻尿・尿もれ 自力でできるリセット法」(アスコム)から一部を抜粋して紹介する。

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 日本の病院には約40種類もの診療科がありますが、男性も女性も訪れる科としては、泌尿器科が「最も性差が出る」ところだと言っていいでしょう。それはなにより、泌尿器の仕組みが男女で大きく違うからです。

 膀胱から尿の出口まで伸びている管が「尿道」です。尿道の直径は、男女とも1㎝以下で、その点は違いがありません。ところが長さは、男性が約17〜18㎝、女性が約3〜4㎝と、まったく違うのです。また、男性の尿道はS字カーブを描いていますが、女性の尿道は真っ直ぐです。

 後で触れますが、女性のほうが男性よりも「もれやすい」傾向があります。それは女性の尿道は出口までの距離が短くて、真っ直ぐだからです。

 それだけではなく、男性の尿道は一部が「前立腺」に取り囲まれています。前立腺は男性の生殖機能に関わる臓器で、女性にはありません。前立腺は年とともに大きくなるものです。大きくなった前立腺が尿道を周りから圧迫するので、男性には

・残尿感がある

・尿に勢いがない

・いきまないと出ない

という症状が出るのですが、女性にはそういう症状があまり出ません。

 逆に女性には、男性にはない「腟」があります。そのために「骨盤臓器脱」になることがあります。これは腟を通って、子宮などの臓器が下に落ちてくる病気です。
 

「もれやすい」のが女性

 女性に多く現れるのが、お腹に力が入ると尿がもれてしまう症状です。笑ったり咳をしたり、くしゃみをしたりするときに、その勢いで尿が少し出てしまうのです。男性でこのようにもれてしまう人は、あまりいません。

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男性の難敵は前立腺肥大症