老眼、難聴、体力減退、シワ、髪の悩み……老化現象にはいろいろありますが、尿の問題に関してだけは、いとも簡単に時計の針を巻き戻せるのです。

 頻繁にトイレに行く症状を「頻尿」といい、ふとしたはずみにもれてしまうのは「尿もれ」といいます。

 頻尿と尿もれは別の症状ですが、密接な関わりがあります。なぜなら、どちらも過活動膀胱が原因になっているからです。原因が同じなのですから、対策もほぼ同じです。もちろん、これ以外の尿トラブルも、セルフケアで対応できます。
 

セルフケアは「トレーニング」と「生活習慣の改善」の二本立て

イラスト/勝山英幸

 セルフケアは医師が「行動療法」と呼ぶ、れっきとした治療です。セルフケアは大きく二本立てで、

① トレーニング

② 生活習慣の改善

です。

 ①のトレーニングの要は、「骨盤底筋トレーニング(骨盤底筋体操)」です。

「え? それならもう知っているし、やっても効果がなかった。効果がないからやめた」

 もしかしたら、こう思った方もいるかもしれませんね。でも、これからお伝えするのは、これまであまり言われてこなかったけれど、実は一番大事なポイントです。

先に答えを教えてしまうと、それは、

「1日45回」

 このトレーニングの本当の要は、やり方ではなく、1日に45回という、回数なのです。

 1回は10秒です。それを1日45回、2〜3か月続けます。

 1回10秒を45回ということは、続けてやるなら7〜8分。

 1分間ずつ、というように時間を区切ってもかまいません。1分ずつなら、1日の間に7、8セットですね。

 多いと思いますか? 少ないと思いますか?

 うまく習慣化できれば、まるで息をするようにトレーニングが自然にできるようになります。歯磨きより楽に感じるくらいです。

 そして、②生活習慣の改善というのは、いつもの暮らしのなかに、思わぬトラブルの原因が潜んでいるかもしれないということです。

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