昨季13位からの巻き返しが求められる浦和レッズも大型補強を敢行した。目玉は極上のテクニックと献身性を併せ持つMFマテウス・サヴィオ(←柏レイソル)だ。実力は折り紙付きで誰もが知るところ。シュート、パス、ドリブルの全てが一級品で、現在27歳という脂の乗った年齢も魅力。様々なポジションに適応可能であり、活躍は間違いない。

 その他にも豊富な運動量でチームの潤滑油になれるMF松本泰志(←サンフレッチェ広島)、日本人屈指のドリブラーであるMF金子拓郎(←コルトレイク)、昨季ルヴァン杯得点王のFW長倉幹樹(←アルビレックス新潟)らを獲得し、左右のSBで有能なDF荻原拓也(←ディナモ・ザグレブ)に加えてFW高橋利樹(←横浜FC)、MF柴戸海(←FC町田ゼルビア)、早川隼平(←ファジアーノ岡山)をレンタル復帰させた。ただ、2列目の人材の“ダブつき”が気になり、課題のCBの補強が現時点で新人の根本健太(←流通経済大)のみという点は不安。チーム編成のバランスは現状、決して良いとは言えないだろう。

 その意味では、鹿島アントラーズの方が“効果的”だろう。鬼木達新監督を迎えた中、昨季リーグ2位の21得点をマークしたFWレオ・セアラ(←セレッソ大阪)に、左右のSBでプレー可能な日本代表歴のある小池龍太(横浜F・マリノス)、さらに荒木遼太郎(←FC東京)、松村優太(←東京ヴェルディ)をレンタル復帰させたからだ。

 また、FC東京も圧巻の破壊力を持つFWマルセロ・ヒアン(←サガン鳥栖)を手に入れ、経験豊富なMF橋本拳人(←エイバル)を復帰させたことで楽しみの方が大きい。J1初昇格となったファジアーノ岡山も、元日本代表のMF江坂任(←蔚山HD)、伸び盛りのFWブラウンノア賢信(←徳島ヴォルティス)に将来が楽しみなMF佐藤龍之介(←FC東京)ら精力的に補強しており、期待が持てる陣容となっている。

 さらに触れておくべきは柏レイソルだ。マテウス・サヴィオの退団は確かに痛いが、リカルド・ロドリゲス新監督の下、GK小島亨介(←アルビレックス新潟)、DF杉岡大暉(←湘南ベルマーレ)、DF原田亘(←サガン鳥栖)、MF仲間隼斗(←鹿島アントラーズ)、MF久保藤次郎(←名古屋グランパス)、MF渡井理己(←徳島ヴォルティス)、MF小泉佳穂(←浦和レッズ)、MF原川力(←FC東京)と経験のある実力者たちを次々と獲得した。早期に戦力が噛み合えば上位進出も大いにあり得る陣容になっている。

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新シーズンへ“不安”があるのは…