ヤクルト監督時代の野村克也氏

同じ野村克也氏の教え子だが…

 石井氏はヤクルト阪神楽天で指揮を振るった野村克也氏の教え子だ。野村氏から薫陶を受けた指導者は多い。12球団の監督を見ると、新庄剛志監督(日本ハム)、吉井理人監督(ロッテ)、三木肇監督(楽天)、高津臣吾監督(ヤクルト)、今年から就任した藤川球児監督(阪神)が現役時代に指導を受けている。

「野村さんの影響を色濃く受けた野球をしていると感じるのが、新庄監督ですね。田中正義、郡司裕也、水谷瞬、池田隆英など他球団で伸び悩んでいた選手の素質を開花させた手腕は、『野村再生工場』と重なります。1球ごとに守備位置を変え、走塁の意識を大切にする緻密な野球も野村さんの教えが継承されている。石井GMはどうでしょうか。監督をしていた2年間は正直、どういう野球を目指しているのか方向性が見えなかった。マスコミに発信する様子からは、言語化して伝えるのがあまり得意でないのかなと感じます。現役時代から天才肌でしたからね。当時は野球に執着しない発言をしていたので、監督やGMに就任する姿が想像できなかった。結果が出ていないので風当たりが強くなっていますが、意地を見せてほしいですね」(野村氏を取材していたフリーライター)

 昨秋のドラフトで楽天は1位指名で5球団が競合したアマチュア球界№1遊撃手の宗山塁(明大)の交渉権を引き当てた。2位では最速153キロの即戦力左腕・徳山一翔を指名。先発陣強化に向けてヤクルトを退団したミゲル・ヤフーレ、ガーディアンズなどでプレーしたスペンサー・ハワードを獲得している。戦前の下馬評が高いとは言えない楽天だが、石井GMのもと、ファンの信頼をつかむためにも、結果で示すしかないだろう。

(今川秀悟)

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