安楽問題で会見する楽天の森井誠之球団社長=2023年11月

安楽問題のときは現場の責任者だった

 石井氏が監督を務めた23年のシーズン終了後には、主力投手の一人だった安楽智大が後輩へ継続的にパワーハラスメントを行っていたことが発覚。森井誠之球団社長が会見をして謝罪し、安楽は退団した。球界に暗い影を落とす不祥事だった。

 楽天を長年取材しているテレビ関係者は、こう苦言を呈する。

「安楽のパワハラについては首脳陣が気付かなければいけないし、大事になる前に手を打たなければいけなかった。石井さんは退任してシニアディレクターになり、安楽の件について発言していない。球団の記者会見の場に、当時の現場の責任者として石井さんも同席するべきだったと思います」

先の球団OBは、「本来ならこの安楽問題のとき、石井さんは現場の責任者としてチームを去るべきだった」と厳しい。

 昨年は今江敏晃前監督が2年契約で就任し、交流戦で球団初の優勝を飾った。ロッテとの3位争いで及ばず、3年連続の4位でCS進出は叶わなかったが、他球団との戦力差を考えると及第点はつけられる。早川隆久、藤井聖が左腕で球団史上初の2ケタ勝利をマークし、藤平尚真はセットアッパーとして覚醒。抑えに配置転換した則本昂大は最多セーブのタイトルを獲得した。野手も辰己涼介、小郷裕哉、小深田大翔と生え抜きの選手たちがチームの核となった。

 25年も今江監督のもとでさらなる飛躍を目指すと思われていたが、球団は昨秋、任期途中だった今江氏の解任を発表。かつて1年で監督を退任した三木監督が5年ぶりに就任し、石井GMとの再タッグで今年のシーズンに臨むことになった。

チームに一体感がなくなった

 石井氏がGMなど球団の要職に就いて以降、チームは2度の3位が最高位で、13年以来のリーグ優勝・日本一には手が届きそうになったこともない。先のテレビ関係者は、石井氏のもとでのチーム内の変化を次のように話す。

「言葉にするのが難しいんですけど、一体感がないんですよね。石井さんは選手の評判がいいんです。自主性を尊重し、選手は居心地がいいと思います。でも、それがチームにとって良い方向に向かっているかというと疑問です。チームを引き締めるためには野村克也元監督や星野さんのように、実績がある選手でもチームのプラスにならない振る舞いやプレーを見せたら苦言を呈する必要があると思います。今回、石井さんがGMに再度就任しましたが、球団は本気で優勝を狙う意思があるのかと疑問を感じます」

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