スカート姿でスリの犯人に飛びかかり…
現在は女性警察官もズボンにフラットなヒモ靴をはき、男女間での仕事内容の差はほとんどなくなったが、40年前はパトカーさえ運転させてもらえず、いつも助手席に座っていたという。
「本当はもっと幅広い仕事がしたかったし、派手で目立つ仕事をする男性のほうが評価される理不尽はずっと感じていました。今、女性警察官がズボンでバイクにまたがる姿を見ると、うらやましいなと思います」
と、寺﨑さん。とはいえ、スカートにパンプス姿だった当時も、警察官として身を挺(てい)す場面はあった。
戸部署時代、交番に待機していると、外国人と思しき男女数人組が猛ダッシュで走ってきた。すると、後ろから追いかけてきた同僚の警察官に「スリの犯人だから捕まえてくれ!」と言われ、グループのうちの一人の女性に目星をつけ、飛びかかって確保した。もしここで、スカートがめくれたりパンプスが脱げたりしたら、被疑者を取り逃がすことにもつながりかねない。
「今考えると、われわれの仕事上、わざわざ男女で制服を変えるのはおかしいと思いますよ。遠目で女性の警察官だと分かったら、犯罪への抑止力が下がってしまう。私たちと同じように有事の際に体を張る航空会社のCAの制服が、いまだにスカートが主流である現状には、『女性には上品でいてほしい』という男性目線の根強さを感じます」
スカートの弊害としてもう一つ挙げられるのが、セクハラの助長だ。かつては「俺は新人が来たら全員触る」と、女性警察官の臀部(でんぶ)を触ることを豪語する上司までいたという。