郷ひろみがおすすめする40代で1年完全禁酒 心と体が得する話
四十代は働き盛り――と言われてきた。
しかし、現実はどうか。それまでのキャリアをてこに、主体的に働いて新境地を切り開きたいところだが、合理化・効率化に拍車がかかるなか、社会の中核としての責任や使命より、自分がなんとか生き残ることに躍起にならざるをえない。これでは「働かされ盛り」でしかない。
ほんと、やってられないよと、今夜も酒をあおってしまいそうなあなた。グラスに口をつける前に、いま日本でいちばん元気な四十代のあの人の、人生で再度ブレークするコツに耳を傾けてほしい。
そう、「アッチッチ」で紅白の瞬間最高視聴率を取り、「ハレルヤ!」と気をはいて、離婚という人生の危機を「なかったコトにして」しまった郷ひろみさん(45)である。
危機を好機に転じた郷さんだが、離婚(九八年)による喪失感は並大抵のものではなかった。最新著『若気の至り』(角川書店)で、こう打ち明けている。
「家族がいた頃に感じることのできた安心感、生活の安堵感はいったいどこへ消えてしまったのだろう。ボクの心の中には、もうああいった心の安寧が戻ってくることはないんだろうか」
毎晩のように周りの人たちと食事をしたり、飲みに行ったり。やがて、そんな自分に嫌気がさした。
「このまま終わっていくんではなくて、今までとは違った自分をつくりあげたい、何かを始めなきゃと思ったわけです。そのためには、今までしていた何かをやめなければ時間が捻出されない。ムダと思えることを探してみた」
そして、一九九九年元日から実行したのが、「とりあえず一年、酒をやめること」。
夕食のときは必ず飲んでいた。好きだったのはボルドーの赤ワイン。深酒するほどではなかったが、飲めば夜はそのまま寝てしまったし、次の日まで酒が残り、午前中使いものにならないこともあった。
だが、酒をやめてからは、朝起きてすぐに頭も体も全開状態に。一日をフルに活用できるようになった。
新たな時間で自分を見つめ直し、新しいことに挑戦するうち、二十代でアメリカにダンスや歌の修業に行ったころの情熱、モチベーションがわいてきたという。
実は郷さんの選択、医学的にも理にかなっている。
「男性の場合、日本酒換算で一日五合飲み続けると、約二十年でアルコールへの依存が形成されます。ですから、社会人になり、酒を飲み始めて二十年たった四十代で、一度、徹底的に酒を抜いてみるのは、アルコール依存症を回避するうえで有効な手段です」(榎本クリニック・榎本稔院長)
郷さんは言う。
「自分との約束はだれも知らないわけだから、守るのは大変なこと。意志や勇気が必要です。でも、自分がこうなりたいという目標があれば、年齢に関係なく、限界を打ち破っていける。未来は簡単に手に入るものじゃなくて、毎日の積み重ねが形作るものだからね」

