投手でもう一人面白い存在になりそうなのが2巡目で指名された鈴木健矢(日本ハム→広島)だ。木更津総合、JX-ENEOS(現・ENEOS)時代は140キロを超えるストレートを武器に本格派のサイドスローだったが、プロ3年目の2022年にアンダースローに転向。翌2023年にはリリーフと先発の両方をこなして6勝、1ホールド、防御率2.63と大きく成績を伸ばした。

 今年も一軍では8試合の登板に終わったものの、5月3日のオリックス戦では先発としてマウンドに上がり、5回1/3を投げて被安打1、無失点の快投を見せて勝利投手に。シーズン通しての防御率も2.74と数字は悪くなかった。球持ちの長さが特長で、打者から見るとタイミングをとるのが難しく、ストレートと変わらないスピードで変化するシンカー、100キロ以下の緩いカーブなど変化球も多彩だ。広島の右投手はオーソドックスなタイプが多いだけに、変化をつけられる存在としてかかる期待は大きい。

 野手でブレイク候補として推したいのが吉田賢吾(ソフトバンク→日本ハム)だ。桐蔭横浜大では3年秋から4年秋の3シーズンで合計14本塁打を放つなど強打の捕手として活躍。守備面での不安からドラフトの順位は6位と低かったが、打撃に関しては当時から高い評価を得ていた。プロ入り2年目の今シーズンは二軍で79試合に出場して打率.303という見事な成績を残し、一軍でも初安打、初打点をマークした。

 タイミングのとり方が上手く、センターを中心に鋭い当たりを放つ打撃は安定感がある。完全なホームランバッターというタイプではないが、スタンドまで運ぶ力も申し分ない。捕手登録だが、内野や指名打者での出場が多く、期待されるのはバッティングだ。日本ハムは郡司裕也、水谷瞬など移籍をきっかけにブレイクした選手が多いのも吉田にとってはプラスと言えるのではないだろうか。チーム内の競争は厳しいが、レギュラー争いに加わる可能性はありそうだ。

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