BUCK-TICKの今井寿さん(撮影/写真映像部・和仁貢介   costume  kiryuyrik)
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昨年10月、BUCK-TICKのボーカリスト、櫻井敦司がライブ中に体調不良になり、病院に搬送され、脳幹出血のため57歳で急逝した。残された4人のメンバーは直後にバンド継続を発表した。それから約1年、新体制になって初となるシングル「雷神 風神 - レゾナンス」がリリースされた。ボーカルを取ったのはギタリストの今井寿と星野英彦だ。今井寿がインタビューに応じた。(文中一部敬称略)

【写真】新しい「BUCK-TICK」について語る今井寿

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新曲でライブができるくらい

――12月4日リリースのアルバム『スブロサ SUBROSA』は、エネルギッシュで生命力あふれる楽曲「雷神 風神 - レゾナンス」やインスト3曲を含む、全17曲というボリューミーな作品になっている。なぜ、ここまでボリューム感のあるアルバムができあがったのだろうか。

今井 4人で作った新曲でライブができるくらいの曲数を作りたかったんです。当初は「2枚組みのアルバムにしたい」と言っていたんですが、「さすがにそれはちょっと……」という雰囲気になったので、1枚になりました。でも、1枚ぎちぎちに入るくらいの曲数を作ろうと思いました。

――アルバムを作っているとき、どんなことを考えていましたか。

今井 まず、「止まらないで進んでいく」ということ。そして、いつもそうではあるんですが、最新作を最高の作品にしたいということ。フロントマンは亡くなってしまったけれど、「前の作品よりかっこよくしてやろう」と思っていました。

全人類に向けて書いた

――1曲ごとに新たなBUCK-TICKに出会うような新鮮さがある。アルバムの1曲目「百万那由多ノ塵SCUM」の最初の歌詞は「俺たちは独りじゃない」だ。

今井 (櫻井への)個人的な喪失感はどこかにあったかもしれません。ただ、自分としては全人類に向けて書いた歌詞でした。

――これまでは櫻井が多くの作詞を手がけてきた。今作では歌詞がある14曲のうち、12曲の詞を今井、2曲の詞を星野が手がけている。

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弔いの気持ちはあったと思う