■月100万円以上稼ぐクリエイターも!
そういう写真をいちいちプロカメラマンに撮ってもらうとコストがかかる。また従来のストックフォトも、使用料が1枚数万円から数十万円という世界で、小さな会社では手が出せなかった。しかしピクスタならいちばん小さい写真を540円で買うことができる。ここも同社が大きく業績を伸ばしてきた理由だ。
ピクスタに写真を提供しているクリエイターの年齢は30代から40代がいちばん多く、男女半々という。気になる収入はどれくらいか。
「稼げる人が増えてきて、うちのストックフォトだけで生活している人もいます。月100万円以上稼ぐ人がちらほら、トップクリエイターは売り上げ3千万円です」
3千万円! 思わず腰が浮きそうになったが、
「でもそうは簡単に売れるものではありませんよ」
と、岡さんは苦笑いしながら釘を刺した。
写真を趣味にしてきた人がストックフォトに進出すると、ギャップにまず戸惑うらしい。
「芸術的に優れていれば売れるわけではないからです。ストックフォトは広告利用が目的なので、できるだけ多くの人に受けそうな写真が売れます。アマチュアは撮りたい写真を撮ってきたと思いますが、ストックフォトでは『買う人の都合』を考えなければいけません」
岡さんはその具体的なサンプルとして、新聞の折り込み広告に入ってくるチラシや電車内の広告を挙げる。
「それを見れば、ふだんみなさんが撮られている写真とは違うことがわかるはずです」
自分が趣味で撮りためていた写真がそのまま売れるわけではない、ということだ(そういうケースもあるが)。
「ストックフォトはアイデア勝負なんです。たとえば最近では『電力自由化』というキーワードがあってガス会社なども参入しているのですが、使える素材がまだ少ないので、写真で表現できれば売れる。イベントも七夕はあまりお金が動きませんが、クリスマスは消費活動が活発になる。ということは広告需要も増える。広告が増えればそこに使う写真も欲しがられる、ということです」
アサカメ読者としては考えたことがない撮影アイデアが必要になるわけだが、もともとの撮影技術があるので、恐れることはない。(取材・文/フリーライター・神田憲行)